バレンタインー3−


「あのね、ヒカル。これが・・・・・」

目の前に出される、可愛らしくラッピングされたいくつかの箱。

・・・・去年よりさらに増えてやがる。

「ね、渡しておいてね」

可愛らしく笑いやがって。彼女の手作りチョコを他の男に渡す彼氏の気持ちも考えろよ!!

なんて思ったりもする。

「義理チョコなんていらないんじゃないのか?」

少々抵抗も試みるのだが

「えー、でもヒカルがいつもお世話になっているし・・・」

そうちょっと困って言うあかりに結局逆らえない。

盛大なため息一つで結局預かることになる。





「ヒカルの分は、ちゃんと当日にあげるからね」

そんなことはもちろんわかっているけど・・

「ちゃーんと、ヒカルのは特別製だからね」

ちょっと照れながらそう言う姿はすごく可愛いけど

「ふーん。俺さ、別にチョコじゃなくてもいいんだけど」

そう言いながらあかりにズィっと近づく。

「こっちの方がいいなー」

そして、彼女に少しずつ顔を寄せる。

他の男に、あかりからのチョコを渡すのは正直かなり癪に障るけど。

この甘い存在に触れられるのは俺だけだから、まあいいか・・・

そんなことを思いつつゆっくりと近づく。

あかりは、やわらかく微笑んで俺を待っていたのだけど・・・・




「ヒカルー!!あかりちゃーん!!お茶にしましょう、降りてきてちょうだーい」

触れる寸前に母親の声に邪魔をされる。

「・・・・・・かあさん」

思わずため息が漏れる。このタイミングって・・・

あかりが目の前で「お茶だって」とくすくす笑っている。

笑っているあかりをちょっと軽く睨んだ後、その唇にすばやく触れるだけのキスを落とす。

「とりあえず、予約な」

あかりは不意をつかれてちょっとびっくりしたようだったが、その後はにかんだように笑った。

「ヒカルー!!」

母親の催促の声に「今行く」と返事をしながら立ち上がり、あかりに手を差し出し立たせる。





「今年もヒカルいっぱい貰ったんだね」

階段を降りながらあかりがにっこり笑ってそう言ってきた。

「?」

「さっきね、おば様とチョコ見てたの。美味しそうなのいっぱいあったよ。ヒカルも一緒に食べよう」

嬉しそうに笑っている。

なんかちょっと・・・・・

「今年は焼もち妬かないのか?」

去年は食べちゃダメとか言っていたのに

少しムスっとしながらそう言うと、あかりは一瞬ポカンとした後、

くすくすと楽しそうに笑って、階段を降りきった後不意に身を寄せてきた。

「ねえ、ヒカル」

あかりが下から俺を真っ直ぐと見つめてくる。

「私、焼もちやく必要ある?」

降参、俺は心の中で両手をあげた。

「・・・・・・ありません」

完敗である。

あかりは嬉しそうに晴やかに笑った。

結局、俺はあかりにはかなわない。




目の前で、あかりと母親が嬉しそうにチョコを摘みながら、楽しそうに話している。

二人は次から次へと甘いチョコを口に運んでいた。

・・・・・いくつ食べるんだろう?

思わず観察してしまう、俺は一個でもう十分だったのに。

見ているだけで、気持ち悪くなりそうだ・・・

「あんまり食べると太るぞ」

思わずそう言葉が出てしまったのだけど・・・

次の瞬間、二人同時にキッと睨まれた。

「・・・何でもありません」

ため息混じりに小さく呟くと、二人はまたチョコ談議に戻っていく。



去年もこんな光景みたような・・・・

目の前であかりが嬉しそうに瞳をきらきらさせながら母親と一緒にチョコを食べている。

なんか、これからバレンタインはずっとこんな感じなのかなー

ま、それも悪くないか・・・・・

そんなことを考えつつ、大人しくコーヒーを飲むヒカルであった。



最初から最後まで甘い文章はどうも私には書けないようです(^_^;) で、バレンタインシリーズ。 何気に、幸せな進藤君!編でした。 一応、あかりちゃん高校三年間のバレンタインです。 如何でしたでしょうか? ちなみに、当サイトのあかりちゃんは食べることが大好きです。

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