始まりは? -5-


俺はこいつまで失うのか?
でも、こいつはなんか論点がずれていたみたいで・・・・

「なのに!こんな喧嘩中に!しかも道端で!」
はぁ?ちょっとまて、こいつ何言っているんだ?
「いろいろ、いろいろ・・・・なのに、全然・・・・」
なんか、ちょっと違う気が・・・。
さっきまで自分を支配していた冷たい喪失感がすこしづつ消えていく。


「ちょっと、まて!」
なんなんだ、一体?
「ファーストキスだったのにー」
うー、と悔しそうに俺を睨んでくる。


「いろいろ夢だってあったのに!」
ひどいってぶつぶつ呟いてる。
ちょっと待て!夢ってなんだ?場所が悪いのか?
怒っている論点ずれてないか?なんなんだよ、それに・・・

「ファーストキスって。確か、幼稚園の頃しなかったか?」
したよなー、ふざけて幼稚園の頃。母さん達の目の前でやって慌てさせた気がするけど。
「あんなの、数に入らないの!」
あんなのっておーい!こいつが考えていることが全然わからない。
どうすりゃ良んだ?


「・・・・やり直して」
「はい?」
「そうよ!やり直せばいいのよ。さっきのは無しにして」
なんかあかりが一人で勝手に納得し始めた。
だめだ、女の考えについていけない・・・


「あかり。訳わからないんですけど・・・」
一人興奮するあかりにため息をつきながら俺が質問する。
「ひかる。さっきのは無しね。全然ロマンチックじゃないじゃない!」
はぁ・・・
「だからね、やり直しなの」
つまりもう一回していい訳?
そりゃ、俺は願ったり適ったりですけど。
「そりゃ、俺的には何度でもしたいけど、じゃ、する?」
いつのまにかあるき始めている、あかりの手を掴みこっちを向かせる


「え?」
ぽかんとあかりが俺を見る。
「だから、する?」
あかりの顔が一気に赤くなる。
あれ?なんて言ってる。おい、ホントこいつ大丈夫か?

「あの、違う。そうじゃなくて・・・」
「あー、道端じゃダメなのか。じゃ、これから俺の部屋くる?」
「へ、部屋?」
ますます赤くなるあかり。
あれ?どうしよう?なんて言っている。


もしかしてこいつさっきまで思いっきりパニクッて勢いでめちゃくちゃ言ってただけか?
で、やっと我にかえったとか?


「あかり。あかりが言ったんだぜ。やり直せってさ」
にっこり笑って言ってやったら案の定真っ赤になって俯いている。
「だって、いきなりひかるが・・・だから・・・なんか・・・」
当たり!パニクってたわけだ。
「ダメだよ。そんな。だって・・・。付き合うって、だってまだ・・。
 いきなりそんな。キスだって、もっとちゃんと。あれ?何言ってんだろ、私」

真っ赤になって恥ずかしがっているあかりがあんまりにも可愛かったから。
思わず、今度はついばむようなキスを1つ。


「!!」
ぱくぱくと言葉が出ないあかりに思わず笑ってしまう。
「あかりが合格出すロマンチックなキスするまで、無しになんだろ?」
つまりはやり放題だ。なんてあかりから怒られそうなことが頭を掠める。

「な、ひかるー!!」
違うー!!と怒り出すあかり。
まずいな、これ以上したら本格的に嫌われそうだ。


「とりあえず、今週末空けとけよ。デートしようぜ」
にっこり笑って歩き出す。
そしてあかりに向かって空いている手を差し出した。
あかりは戸惑いながら、おずおずとその手を握る。
俺はそのやわらかい手をしっかりと握り返して、引き寄せ隣を歩かせた。


そして
「その時、合格出すようなキスしてやるよ」
あかりの耳元で囁くように告げた。
とにかく、さっさと合格もらって遠慮なく堂々としたいもんなー。
そんなことを思いながら、赤くなっているあかりを眺める。


うん、ほら、やっぱり俺のあかりだ。

小さい頃からずっと隣にいたんだ、当然これからだって。
握っていた手にグッと力を込める。
それに反応するように俺を見上げたあかりに、俺は笑いかけてから、問い掛けた。

「で、あかり。自覚したよな?」

問いかけというより、肯定だったかな。
つまりは俺のものだって。
あかりは、ちょっと戸惑ったようだけど、すぐに赤い顔のままかすかに頷いた。


ほら、やっぱり俺のだ。



この日俺たちはいままでの曖昧な幼馴染という道を抜けて、
新しい道へと一緒に歩み始めたんだ。



ここまで読んでくださった方、ありがとうございましたm(__)m
とりあえず、無事にお付き合い開始です
ただ、あかりちゃん的には『告白』もされていないのに!と思ってたりもします。
さて、週末のデートで無事に『告白』をしてもらえるでしょうか?

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