これだけでいい -2- 



今はまだこれだけでも構わないんだ。

「ひかるがきらいなわけじゃないの」

腕の中であかりが涙声でそう言う。

「うん」

やさしく相槌をうつ。正直 当たり前だ!! と思いながら

「ひかるが嫌なわけじゃないの」

安心させるようにあかりの髪をなでる。

「ただ、まだ・・・」

ギュウとあかりの腕が俺の背中に回される。

「ごめん、ひかる」

「大丈夫」

「まだ、怖いの」

ぽんぽんと背中を軽く叩いてやる。

大丈夫と。



「大丈夫。あかりがいいと言うまで俺待つから」

あかりを少し離して、その泣きそうな顔を覗き込んだ。

「あかりがちゃんといいと思えるまで、これだけでいいから」

そう言って、軽くあかりの唇にキスを落とす。

「な、だから大丈夫だって」

にっこりと笑いかける。

「俺、待つからさ」

あかりは申し訳なさそうに俺を見たあと

「本当にいいの?」

と聞いてきた。

「もちろん。一人だけの問題じゃないだろう? あかりの心の準備が出来るまで待つよ」

「待ってくれるの?」

「いいよ」

あかりは少し安心したようだった。

「本当に?」

「うん」

「私が良いって思えるまでずっと?」

「そう、ずっと」

俺の目をじぃっと見つめてくる。

「本当?」

「本当」



あかりはちょっと何か考えるそぶりを見せた。

「・・・・・一生でも?」

そして、おずおずとそう聞いてきた。

「・・・・・・」

おい!あかり!調子乗ってないか?

だから、俺は調子に乗ったあかりの額を軽く小突いてやった。

「一生は無いな」

そう言うとあかりはちょっと悪戯っぽくくすりと笑って

「無いの?」

と聞いてくる。だから俺は笑って断言した。

「無いね!!」

と。

別に焦らなくていい。

あかりがいいと思えるまで待っていられる。

だって、いつかは俺が貰うから。俺が手に入れるから。

だから待てる。

まあ、正直、我慢をしていないと言えば嘘になるけど。

今は、このままの関係を楽しむのも悪くない。



だから

「焦ること無いだろう?俺たちは俺たちのペースで行こうな」


俺はそう言ってあかりに笑いかけた。



書いていて、恥ずかしくなりました・・・・(^_^;) でも、実はこのお話、参考にさせてもらったものが・・・ 二人の最後の方の遣り取り、「待つからさ」辺りからですが、 数年前某テレビ番組に出てきていたある高校生と大学生の会話です。 しかも付き合って1年以上のカップル。 あまりに可愛らしいと言おうか、純情と言おうか、 とにかく心がほんわかするような二人で、印象に残っていました。 だから、ちょっと私なりのアレンジを加え、「ひかる×あかり」で再現(^O^) あの、微笑ましい二人が今でも幸せに付き合っていてくれていることを願いつつ・・・                    
 
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