夏祭4

「わりー、つい。」
「すみません、お騒がせしました」
進藤は決り悪そうな顔をして、藤崎さんは本当に恥ずかしそうな顔をして俺達に謝ってきた。

「いや、いいんだよ。それよりも藤崎さんや奈瀬が無事でよかった。」
伊角さんがいつもの穏やかな笑顔で答えている、さすがだ伊角さん。
「そうだよ、本田さんがいけないんだよ。離れるから!」
進藤は本田さんを軽くにらむ。

「そんな、いいじゃない。もう。結局無事だったんだし」
藤崎さんが進藤に軽く抗議する。あわや口論第二弾!となりかかったところ、伊角さんが
「あ、折角だし、買ってきたものを食べようか」
と、すばやく方向転換。伊角さん、お疲れ様です・・・・

結局その日はやっぱり最後まで二人の無自覚な自然ないちゃいちゃぶりで当てられてばかりだった。
大体、さっきまでの口げんかしていたというのに、すぐ後に仲良さそうに笑いあいながら、たこ焼きなんて食べているし。
「あれ」とか「それ」とかで会話が成立しちゃうし。
もちろん、二人でいつもずっといたわけじゃないけど、藤崎さんは奈瀬ともしゃべっていたし、
進藤も俺たちとも喋ったし、ずっと手を繋いでいたわけじゃない。
でも、やっぱり、いたるところで目に付くわけで。

ふと気がつけば、奈瀬が二人にちょっかいだしているようだ。
「大体、進藤そんなにナンパが心配なら。藤崎さんに指輪でも買ってあげたら?
 指輪つけている女の子には男ってあまり近づかないわよ」
左手の薬指をひらひらと動かして、にこにこ笑っていっている。
進藤は「そうなのかー?」なんて暢気に興味深げに聞いているし、藤崎さんは「いいー」って急いで否定している。

「へー、じゃあ、あかり。明日買いに行こうぜ」
おい!進藤!?それって意味わかってんのか?
「な!!いい、いらない!!」
真っ赤になって否定する。

「なんでだよ。いいじゃん、ナンパよけになんだろ?」
「ひかる、意味わかって言ってるの?」
「へ?意味?だからナンパよけだろ?」
「・・・・ひかるの馬鹿!!知らない!」
とうとう藤崎さんは怒って、ぷん!と歩きだした。 

進藤といえば、なぜ彼女がいきなり怒り出したかわからないって顔をして、藤崎さんのあとを追いかけている。あー、馬鹿進藤。
「くすくす、ねえ、あの二人面白いわー」
奈瀬はどうやら、二人を特に進藤をからかうことに楽しさを見出したらしい。
伊角さんはそんな奈瀬を見て、ため息がてら「いい加減にしろよ」なんてたしなめているし。
本田さんは純粋に二人、いや進藤を羨ましがっている。


で、越智は、さっきから無言で二人の様子を呆れたように眺めていたが、ふと俺の方を振り向いた。
「和谷。今度からあの『無自覚天然バカップル』と一緒の時は僕を誘わなくていいよ。疲れる」

・・・・・越智、俺も同意見だ。
前方をみれば、案の定、二人が軽い言い合いのあと、また何故か自然に楽しそうに話しているのが見えた。
ため息がでる。
・・・・たのむ、早く自覚してくれ。


長い文章を読んで頂いてありがとうございました
しかし長い・長すぎた。
というか、詰め込みすぎた。
付き合う前のくせに、実際はほとんど付き合っている状態、なんて考えていたら浮かんできた。
とりあえず、和谷くん、一部奈瀬さん視点。
私の初、二次小説「ひかり」 やっぱり長すぎだよなー。


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