お正月 - 2 -




神社からの帰り道


ちくしょーさっきから何なんだよ。

あかりは美人だ。幼馴染で彼氏の贔屓目が入っているのは自覚しているけど、

それでも一般的に可愛い方だということはわかっている。

だから、今までだってこんなことはまああった。

しかも今日は着物でめちゃくちゃ可愛いし。でも・・・・



さっきから、さっきから、どいつもこいつもあかりをちらちら見やがって!!

老若男女とはこのことだ!!いつもよりひどすぎる

女はいい。じいさん達もこの際いい!!みんな着物着て可愛いわー、程度だ!!

しかし、男ども!!

あかりをぽ〜と眺めて、俺を羨ましそうに、もしくは憎憎しげに睨みつけて。

俺はいい!でも、あかりをぽ〜と見るな!いやらしい目で見んじゃね〜!!



こいつは俺のなんだ!!



いらいらしつつ、あかりの手を握っていた手に力をこめる。

俺のなんだから・・・・

「ヒカル?」

きょとんとした顔であかりが見上げてくる。

「どうかしたの?」

あーそうだよ。どうかしてんだよ!。

なのに、この鈍感な彼女はまったく今の状況に気がついていない。

自分が注目されていることに。

まあ、着物だからちょっと見られているみたい・・ぐらいには気がついているようだけど。




俺は心の中で思いっきりため息をついた。まったくこの暢気ものは・・・・

「いや、別に」

そう言いながら、ちょっと恨めしげに見下ろしてやった

「え!何? 何かした?」

あかりがおろおろしはじめた。

まあ、あかりが悪いわけじゃないしな・・・

「んー。別に。ただあかり着物似合っているなーって思って」

あかりは顔を赤らめて、嬉しそうに微笑んだ。

やっぱりかわいいよなー。

あかりの笑顔につられて、俺の表情も明るくなる。




うん、やっぱり。何とかしなきゃなー。

大学いったら、今以上に回りに男が寄ってくるんだろうし。

手を打たないと・・・・

やっぱりネックはおじさんだよなー・・・・



進藤棋士の頭の中は、これらの手の打ち方でいっぱいになっていく。

果たして、碁のように上手く勝利を勝ち取れるかどうか。




ところで、その後。

「なあ、あかりー。そのだな、あのだな・・・・」

ちょっと赤くなりながら言葉を紡ぐ進藤棋士。

「?」

「あー、家にはみんないるわけだし・・・・。時間もあることだし・・・・」

正月早々から何言ってんだ、という自覚はあるけど。あかりの着物姿がすごく綺麗だから。

「なあ、ダメ?」

暫くきょとんとしていたあかりだったが、ヒカルが何を言っているか理解した後、

耳まで赤くなりつつ、俯きながら小さく断りの言葉を告げる。

「ごめん。一人じゃ着物着れないの・・・・・」

恥ずかしそうに赤くなって俯くあかり。

その目の前で、呆然と立ち尽くす進藤ヒカル。




来年は、来年の初詣は絶対にあかりに着物は着させない!!

周りの男性から羨望の眼差しを向けられる中、そう心に誓った少年がここに一人いた。





お正月ネタですが。 うーん、ちょっとおバカな内容ですね(^_^;) まあ、優しくするよ、大丈夫。というシーンが浮かんできただけだったんですが。 なんかその後、困った進藤君が浮かんできちゃったんですよねー^^;


⇒目次へ


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送