知らなかったのか?




●ある家庭持ちの棋士の場合。

「おや、君達知らなかったのか?」
不思議そうに言われた。何がって進藤の彼女の話。
あまり普段若手の棋士達と恋話等をすることが無かった彼は、当然あの変な噂も知らなく、
また知っていた事実を誰に告げる機会も無かったらしい。
って言うか何で知っているんです?進藤と特別仲がいい訳でも何でもないはずなのに?
話によれば、子供をつれて家族でよく公園に遊びに行くらしい。
そこで進藤と彼女にあったらしいのだ。
「始めて会ったのは去年の桜の季節かな。友人達と何人かで花見をしていてね。
 その内の一人の女の子ととても仲が良さそうだったんだよ。
 どうもその頃はまだ幼馴染だったようだね。
 で、今年の桜の季節には二人で来ていて。彼女はとてもいい子みたいだね。
 うちの子供達にまで手作りのお菓子を分けてくれたよ」
微笑ましい二人だったよと笑って言った。




●芦原さんの場合。

「そりゃあ知っているよ。正子ちゃんもあかりちゃんも」
当然とある意味自慢気に言われた。
「ほら、塔矢先生は良く夫人と海外に行ってしまうだろう?
 そういう時に良く進藤君が勉強しに泊まりにくるんだよね。
 そうすると学校休みだったりするとあかりちゃんがお昼作ったり、
 洗濯してくれていたりしていてねー。
 幼馴染とか始め言っていたけど、いつのまにか進藤君の彼女になっていたよ。
 笑顔が可愛いいい子だよね。正子ちゃんもそのうちに来てくれるようになってね。
 もともとあかりちゃんのお友達でね。いやー、はっきりしたいい子だよ、うん。
 塔矢先生たちも二人のことはお気に入りで。ホント、あきら君とお似合いで。
 良かったよ。ホント僕は嬉しいんだよねー、あのあきらに・・・」
と嬉しそうに話す芦原さん。この人感動のあまり泣くんじゃないだろうか・・・
何で言ってくれなかったんですか!!と聞けば。
「だって、こういうことは本人の了承が無いとね。
 でも、僕は噂の話が出た時は、絶対に無い!ってちゃんと否定していたよ。
 そうそうあきら君がね、あの噂を聞いたみたいでかなり怒っていてね。
 正子ちゃん達の話をして良いって言われたんだよ。ねえ、聞いてくれる?」
嬉しそうに、かわいい弟分の成長ぶりを語りだそうとする芦原さんに、
適当なことを言って何とか逃げ出した。だって、あの調子じゃどれくらい続くか判らない。
『絶対にないよ』そうのほほんと言われた事が確かにあったけど、
『可愛い弟、あきら君』の芦原さんの言葉は実はあまり信じていなかったのだ・・・



●倉田さんの場合

「なんだ、お前ら知らなかったのかー」
って倉田さんまで知っていたんですか?
進藤の彼女のことは知っていたらしい、でも噂までは知らなかったらしいけど。
まあ、この人が恋愛話に興味があるとは思えないし・・・
「ほら北斗祭のとき塔矢の所であいつら合宿していただろ。
 そのときにあかりちゃんが来てくれたんだよ。いやー、彼女の料理は美味しくてさー。
 うん、俺の好物ベスト10にはいるんだよねー」
うんうん、と美味しかった彼女の手料理を指折り数える。
 って料理の印象しかないんだろうか?!
「いやー、進藤がさ。あれ食べたい、これ食べたいって我侭なんだよ。
 俺も便乗したら怒られて、でもあかりちゃん結局作ってくれたんだよなー。
 いい子だよ、うん。また食べたいなー」
遠い目をする倉田さん。
そうそう好物ベスト10に入るっていうのは内緒な、進藤怒るんだよ。
そう言いながら倉田さんはどすどすと立ち去っていった。
 そりゃ、自分の彼女の手料理が好物だって言われたら怒るだろうなー。




●緒方さんの場合

「やっと気づいたのか」
楽しそうに意地悪げに笑って言われた。
「俺が知らないわけないだろう?」
・・・・・はい、ごもっともです・・・・・。
でも、何故うわさも知っていたのに否定すらもしなかったんですか?
「そりゃ、面白いからに決っているだろう?」
・・・・・・とても良く判りました




●越智の場合

お前知っていたのかー!!
あきれた顔をして無言で睨まれた。
何故、言わないんだ!噂の話は知っていただろう!
「なんで僕がかれらの噂をわざわざを否定して説明しなきゃいけないんだよ」
だからってと問い詰めれば、結局は
「馬鹿馬鹿しくて言う気にならなかった」
なにがバカらしいっていうとどうも・・・・進藤と彼女のバカップルぶりらしい。
北斗祭にはまた次点で参加できなかったけど、
今後のためにと北斗祭の合宿に参加させてもらった時、
そこであかりさんと出会ったらしい。
そこで当てられる当てられる、社と二人でため息を付き合ったらしい。
恐ろしいことに、塔矢と倉田さんは平然としていたらしいが。
「へー、結局塔矢は金子さんと付き合えたんだ」
よかったね、とさして興味もなさそうに呟いていた。



●進藤の場合

「だからばれたくなかったんだー!!」
彼女のことを問い詰める俺達から真っ赤になって逃げようとする進藤。
逃がすわけ無いだろう?何でも公然とイチャついた上、惚気ていたらしいじゃないか。
何を恥ずかしがっているんだ!!
「だって、あれは勢いと言おうか、つい。ほらあいつの学校でだし。
 それに俺のだって多少はアピールしとかないと・・・・」
おい言い訳か?
だってさーあいつもてるし、つい・・・。なんてぶつぶつぼやいている
つまりは綺麗な彼女だって事だろうが!ヘッ!!
「あ!それより、よくもへんな噂流したな!!」
とうとう進藤は反対に食ってかかってきた。
ちがうぞ、進藤!!自分の言動思い出してみろ!そういう噂が立ってもしかたないだろうが!!
「はぁ?アイドルを可愛いと思わなかった?なんだよそれ?
 当然だろうが、あかりの方が何倍も可愛い!!」
胸を反らして言うことか!
あっそ!初めからそういう発言をしてれば良かったんだよ!!
ちくしょー!!なんでこいつに・・・・



●塔矢プロの場合

ギロリ
「何か僕に用でも?」
底冷えした声が返ってくる。
い、いえ、なんでもございません・・・・・
冷たい視線が背筋を凍らす。質問なんか出来るわけが無い。
お、俺達が噂の発信源では無い!!いつのまにか自然発生していたんだ!!
せめて、そう言い訳させてほしかった・・・・






文化祭その後
聞いて回ったのが誰だかって?誰だろう?
まあ、とりあえず知っていた人はもちろん知っていましたって話でした



⇒目次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送