何でこうなったんだ・・2



だけど・・・・

「あ、メイドさん。コーヒーお替りお願いします」

男性客が近くにいる俺を無視して、あかりに声をかける。

「あ、はーい。今お持ちしますね」

もう何度目かのおかわりにもかかわらず、あかりはにこやかに返事をする。

あいつら何杯飲む気だよ・・・・

「ご注文お伺いします」と俺がテーブルに聞きに行けば、

「まだ決ってないので」と言うくせに、あかりが近付くと「注文お願いします」って・・・・



「いやー、俺たち楽でいいなー」

和谷が暢気に笑って越智に声をかけている。

まあ実際、注文はほとんど奈瀬とあかりが取っていて、俺たちは飲み物やデザートを用意したり、

出来上がった料理を運んだり片付けたり、会計したり・・・・

ちなみに女性客の一番人気は伊角さん、続いて塔矢。俺たち三人は比較的ひまで。





あかりが忙しそうに、だけどくるくると軽やかにフロアーを移動する。

その度にうさ耳がぴょこぴょこと動き、短めのスカートがふわふわと舞う。

柔らかい髪がさらさらと揺れ、大きめの瞳に優しい光を浮かべて微笑む。

その姿は文句なしに可愛い。

けれど・・・





またあかりが男達に呼ばれてにこやかに返事をする・・・



あかりが男どもに笑顔を振り撒く・・・・



男性客があかりをじろじろと・・・



あかりが男達に近付いて、何かを話し掛ける。



野郎どもがあかりを見てにやにやと・・・



あかりが優しく微笑み・・・・



男達があかりに声をかける。



あかりが可愛らしく笑って・・・・・・






「し、進藤・・・・・」

越智と和谷が、恐る恐るといった感じで俺に声をかける。

「落ち着けって、大丈夫か?」

落ち着け・・・・って、俺は十分落ち着いているさ。

状況だって良くわかっている。

つまりは、さっきから男性客があかりをじろじろと・・・

震える手を握り締め、引きつる顔で和谷達を見返す。

「落ち着け進藤。今日一日だけだから・・・」

和谷が俺を宥めようと声をかける。

「・・・・今日一日?」

たしかまだ午前中のはずだ。あと半日この状態だと・・・・

俺はさらに手を握り締める。






そして・・・

「・・・ヒカル」

「嫌だ」

あかりが困ったように声をかける。

「あのね・・・」

「ダメだ」

「ヒカル、お願い・・」

あかりの『お願い』は大抵聞いてやりたいと思っているけど、これはダメだ!!

「ダメ」

俺は即答する。




「・・・・ヒカル。お願い放して・・・」

つまり俺は今あかりを抱え込んでいるわけで・・・

あかりが後ろに下がったのを見計らい、俺も下がってあかりを捕まえた。

そのまま抱え込んで放さない。

どうしよう・・・とあかりが困ったように呟くのが聞こえたけど、

そんなことは知らない。

放してなんかやらない!!あかりは俺のだ!!




そしてその後。

「・・・・進藤」

頼むからと和谷が目の前で頭を抱えている。

「ちょっと進藤!!」

奈瀬が目の前で威勢良く文句を言う。

だけど俺は離すつもりはない。だからそっぽを向いて無視をする。




「いい加減にしなさいよ、進藤!!あかりちゃんを返して!!」

返してだと・・・もともとあかりは俺のだ。俺は一瞬だけ奈瀬を睨みつけた。

「進藤・・・頼むよ。我慢してくれ・・・」

和谷が深くため息をつく。

越智がその様子を呆れたように、でも何故か楽しそうに眺めていた。

「おい、お前ら。どうでもいいから早く誰か戻れ!」

とうとう、料理担当の門脇さんが厨房から呆れて声をかける。

どうやらフロアーの方が伊角さんと塔矢2人では大変なことになっているらしい。




あー!くそ!!と、このままでもしょうがないと思ったか、

和谷が越智をつれてフロアーに帰っていく。

奈瀬はフロアーが気になるようで、イライラとしながらフロアーと俺を交互に見る。



「ねえ、ヒカル」

「嫌だ」

あかりの問いかけも、先を言わせず拒絶。

あかりは腕の中で小さくため息をついた。

洗い物担当の本田さんが心配そうに俺たちの様子を見守っていた。

門脇さんがにやにやと楽しそうに笑って眺めている。

だけど俺はあかりを抱えたまま離さない。




あかりが困ったようにため息をつきつつ、奈瀬を申し訳なさそうに見上げる。

奈瀬が怒りで手を震わせ握り締める。

奈瀬が怒りを爆発させるまで、もうそんなにもたないだろう。

だけど、俺は離すつもりはない・・・

だから奈瀬から目を離し、無視をする。


絶対に放してやるものか・・・こいつは俺のなんだから。



当サイトらしく、独占欲丸出しの進藤君です。 ほとんど進藤君の自己中な独白です。 このフリー絵をどうやってアップしようかなーと思って眺めていたら ふと思ってしまったのです。 「何故2人はこんな格好をしているのだろう?」 そうしたら、こんな文章が浮かんできてしまいました。 そして2人の前で頭を抱える和谷君と怒りに燃える奈瀬ちゃんが・・・ 本当に私の頭って・・・・(ーー;) 絵の作者 叉牙吏さん のお気に召せばいいのですが・・・(^^; なお、フロアーと厨房の人数比率が変だろう!!と言う突っ込みは、 出てきてないだけで、厨房には他にもいるのよ!!ということで(^_^;) でも門脇さんがコック長です。彼は何でも出来そうなので。 この絵の作者 叉牙吏さん の素敵なサイト《 KINGDOM 》にはこちら ⇒ ★  


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