海外にいる一番上の姉からの国際電話がかかってきた。
本因坊戦の前に父への激励をするつもりだろう。
でもその前に。
「で、融。彼女は出来たの?」
15歳ほど年の離れた姉は、実はちょっと苦手である。
物心ついた頃にはすでに姉は女流棋士として名をあげていて、大人だった。
ハキハキして、明るくよく笑うけど、強気で、自分の意思を曲げない人で・・・・
姉が家にいた頃はよく怒られていたっけ。
「・・・・まだです」
呆れたような瞳が画面の向こうから見つめてくる。
「まったく、うちの男どもは・・・・」
ちなみに長男・次男共にまだ独身。長女・三女が既婚者ですでに子供ありだ。
すぐ上の姉は留学中だけど、それこそ小学校時代からモテまくっていた。
2番目の姉は通訳の仕事をして独立中。綺麗だから日本人にも外人にもモテるらしい。
仕事に支障が・・・とぼやいていたのを聞いたことがある。
「お母さんを基準にしちゃだめよ」
だから結婚できないんだわ!!融は気をつけなさい。と姉が忠告する。
我が家の女性陣は母を筆頭にみんな綺麗なのだ。
つまり目が肥えている自覚が僕達三人はある訳で。しかも僕の場合もう一人美少女と呼べる子が身近にいたりする。
ちなみに、僕達はまったくもてない訳では無い!筈だと思う。
「あまり融達を責めるなよ」
後ろから父が笑いながら援護してくれた。
「あかりは綺麗で可愛いからな。性格もいいし、明るいし、料理も上手だし、笑顔がすごくいいし、やさしいし、とにかく最高だし。
お前達もあかりに似て皆綺麗でかわいいしなー。身近にこれだけ揃っていると難しいんだろう」
と、にっこにっこして嬉しそうに援護してくれるのだけど・・・
これ援護?
「俺もあかり見て育っただろう。他の娘見ても全然なんとも思わなくてさ」
いや、それは父さんの母さんへの執着ぶりを見てれば想像つくけど、母さんの外見の問題じゃない気がする。
「俺は本当に運が良かったんだよなー。あかりが幼馴染でさ」
うん、うんと嬉しそうに頷く父親。
「あらお父さんたら、それ惚気でしょう」
にこにこと姉も嬉しそうに笑っている。しかも・・・
「私も夫に会えて幸せだわ」
と、惚気返している。
姉は女流のタイトル総なめという偉業をなした棋士なのに、いきなり海外赴任の恋人について行くからと引退した人だ。
止める回りやマスコミ、ファンを『だって仕方ないでしょう』と母直伝の最強の笑顔で黙らせた。
ちなみに、現在海外で囲碁普及に努めているとか・・・
とにかく、只者ではない姉は父親の惚気攻撃にも全く動じない。
「お父さん、試合頑張ってね」
しばらく惚気合戦をしていたみたいだが、話が本題に戻ったようだ。
姉の脇から、姉の子供達が顔を出す。
「おじいちゃん、頑張ってね」
母の幼い頃にそっくりだという孫に父は顔をほころばせて頷いていた。
「融兄ちゃんも頑張ってね」
父の幼い頃にそっくりだという甥っ子に激励されたけど、僕はあまり嬉しくなかった。
一番上のお姉さんを登場させてみたかったのです。
外見があかりちゃんそっくりな設定です。でもにっこり笑ってめちゃくちゃ強い!
ところで、一応 4 としましたが。本当に 4 だったかなー?
自分で書いていたくせによく覚えていません。
3 だったかなーと思いつつ・・・・
ゆと