バレンタインー1−



「あかりー!今年もくれるよな」

にこにこしながら当然のように確認してくる幼馴染。

「え!?」

思わず期待してドキドキしてくる。

これってもしかして遠まわしの告白とか?

少し頬を染めて、頷くと

「よし!一個確保!!」

はい?

「和谷たちとさ、いくつもらえるかって賭けててさー。俺、あかりが居るから一つは確実だもんなー」

・・・・・・賭け?

幼馴染は私の目が少しずつきつくなっているのにどうやら気づかなかったようで。

「じゃ、あかり。よろしくなー」

そう笑って言って、走り帰っていった。

賭けって、一つ確保って?期待してドキドキした自分はなんなのよー!!

あかりは手を強く握り締めていた。





数日後。

当然のように手を出してくる幼馴染に、あかりは「はい」と言って箱を手渡す。

「やった。ありがとう、あかり」

一個確保―!!と嬉しそうに笑っている幼馴染にもう一つ箱を手渡す。

「?」

不思議そうにもう一つの箱を眺めている。

「何、もう一つくれるわけ?」

賭けしてるからかー、わりーなー。なんて暢気なことを言っているけど。

「ううん。それ塔矢君の分。渡しておいてね」

へっ?とびっくりした顔をしているけど。

「あ、中身同じだし、どっち渡しても大丈夫だよ」

にっこり笑って言ってみる。

「な、何で!塔矢にまであるわけ?しかも俺と同じって!」

「だって、塔矢君もお友達だし」

にっこーと笑って有無を言わせない。

「あ、それとヒカル。ホワイトデーは期待しているからね」

当然とそう告げ、踵を返して家に帰る。

びっくりしてちょっと呆然としている幼馴染の顔を見れて、

少しだけすっきりしたあかりだが、やっぱりちょっと寂しかった。

思いっきり幼馴染扱いしかしてもらえない自分が。





その頃、二つの箱を手にした少年は。

「俺、あかりに何かした?」

と、呟きながら少女の後姿を眺める。

あれは、絶対怒っている。

怒っている笑顔だった。





そして一ヵ月後。

「進藤。これを藤崎さんに渡してもらえるかな」

そう、塔矢が紙袋を渡してきた。

中を覗けば、綺麗にラッピングされた箱が入っている。

「何これ?」

意味が判らず、また少々何故かむかつきながら塔矢を見返した。

「何って。ホワイトディーだから。バレンタインのお返しだよ」

頭からさーと血が引く音が聞えた。

ホワイトディーは今日だ。しかも今日は夜まで仕事がある。

・・・・間に合わない。

「何で!もっと早く教えてくれないんだよ!!」





その日、仕事帰りにあかりの家に行って、塔矢からのお返しを手渡した。

「塔矢君から?えー、そんないいのに・・」

そう言いながらも嬉しそうに受け取るあかり。

「あの、俺は・・・・」

冷や汗が背中をつたう。

「忘れてたのでしょう?」

にっこり笑ってあかりがそう言った。

「そうだと思ってたんだー」

くすくす笑っている。とりあえずもう怒ってはいなさそうだ。

「ごめん!だから今度何か奢るからさ。映画でもケーキでも、な」

「別にいいよ。期待してなかったし」

き、期待してないって・・・・

あかりは、うきうきと塔矢からのプレゼントのラッピングを解き始めた。

「うわー、かわいい」

でてきたのは、可愛らしいポーチとハンカチのセット。あかりに良く似合っていた。

嬉しそうに、可愛らしく笑って「ね、かわいい」と俺にも見せてくる。

何故かむちゃくちゃむかついた。

そして、何故か妙に焦った気持ちになって・・・

「あ、あかり。今度出かけたときに好きなもの何でも買ってやるからさ」

そう言うと、あかりはきょとんとした顔をして笑い出した。

「やだ、ヒカル。どうしたの?別に怒ってないから大丈夫だって」

そうして、また塔矢からのプレゼントに目を移す。

何入れようかなー、なんて嬉しそうに微笑みながら。






とにかくすごく悔しくて。むかついて。ヒカルは強く手を握り締める。

ちくしょー、塔矢のやつ。

絶対、来年は忘れない。塔矢よりもいいもん贈ってやる!!

そう、心に誓う進藤ヒカルであった。





バレンタインなんで書いてみました。 まずは、『幼馴染編』です。 今回もシリーズしちゃいます(^_^;)
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