始まりは? -3-


「ねえ、ひかる。なんか怒ってる?」

あかりが恐る恐るきいてくる。怒ってる?ってそりゃ俺は今正真正銘機嫌が悪い!

「あの、かばん重い?私自分で持つよ」
はぁー?この女ずれてやがる。
「ちがう!」
「えー。・・・・」
なんだろう?なんて暢気に考え込んでやがる。

「お前、もうちょっと警戒心もてよ」
「?」
訳わかりませんって顔をしている。

「だから!危険なほど遅くなるなら俺を呼べばいいだろう!
 あんな下心丸出しの男なんかに送られやがって!!」

自覚しろ自覚!!

「下心って!ちょっと木村君は親切で、失礼でしょ!」
「親切―!男は下心なしで親切なんかしねーんだよ!」
「な!何言ってるの!」
あかりは多少顔を赤くして言い返す。ふん!お前が悪いんだ

「大体、ひかるなんていつも忙しくて携帯だってまともに繋がらないでしょう!」
うっ!と詰まる。たしかに仕事中は携帯を切ってるし。
ついそのまま切りっぱなしだったり、マナーモードのままだったり。
着信やメールが入っててもついつい返事が遅れたり、返事すらしなかったり。

「とにかくだ!男になんて送られるな!!」

「そ、そんなの私の勝手でしょ!ひかるには関係ないじゃない!!」
あかりが声を荒立てる。関係ないだとー!

「お前は俺のなんだよ!大有りだろう!」

あれ?俺今何言った?つい・・
あかりを見れば、目を大きく見開いてびっくりした顔で俺を見上げている。

「ひかる?今何て言ったの?」
恐る恐るきいてくる。こうなりゃこのまま押し切ってやる。

「だーかーらー!お前は俺の彼女だ!って言ってんの」
赤くなって、あかりのその大きな目から視線をそらして答える。

あかりはしばらく呆然として何も言えず考えているようだ。
俺も内心動揺する。どうしよう、あかりの反応が怖い。
とにかくこいつは俺のなんだから・・・・それしか考えられなかった。
ある意味、碁の対局中、失敗した時より動揺したかもしれない。


「・・・ひかる?」
「な、何だよ!」
こいつ何聞いてくるつもりだよ。


「いつから?」
「はぁ?」
「だから、いつから私達付き合ってるの?」

いつからー?いつからって・・・・

「連絡取り合ったりとか、休日二人で会ったり、遊びに行ったりとか、
 そういうのって普通付き合ってるって言うんじゃないのか?」
暇な休日、結構こいつと出かけたりしている。つまりそれってデートだよなあ。

「そんなの、幼稚園の頃からやっているじゃない」
あかりの目が真っ直ぐに真剣に俺を見つめている。

「それは・・・。じゃあ、幼稚園の頃からなんだろ!」
その真剣な目線に耐えられず、思わず声を荒立てる。

「じゃあって・・・何よそれ!」
「嫌なのかよ!!」
何か優しい言葉でもかければよかったのかもしれないけど、俺にはそんな余裕はなくて。
パニクっていたのだ、今まではっきりさせていなくて何となく一緒にいた。
というか、一緒にいることが自然だった。
今日会ったことすら偶然だったんだ、なのにいきなりこんなことになって。

とにかく、パニクっていたんだ・・・

「嫌なのかよ・・・」
「あの、・・・・・だって、その」
あかりがいきなりおろおろし始める、だんだん顔が赤く染まって来る。
ついさっきの怒りの所為で赤くなったとは違い、今度は恥ずかしさで。

「だって・・そんなの・・・」
俯いて、はっきり答えない。だんだんこのはっきりしない空気にイラついてきた。


だから、つい。


俯いているあかりを抱き寄せ、無理やり上を向かせて。


「!!」


強引に唇を奪った。




進藤君。暴走ぎみです・・^_^;
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