憧れの存在?驚愕編-2-



あかりさんは結局進藤さんが指導碁をしている間、
進藤さんを後ろから眺めていることしか許可されなかった。当然進藤さんに。

あかりさん!あかりさん!!
本当に、本当に!進藤さんでいいんですか?この独占欲普通じゃありませんよ!!!
「あの、対局はしないから。ここ離れていい?」ってあかりさんが聞いたら。
「ダメ!」の一言だ。
あかりさん、大変な人に捕まっちゃいましたねー。
思わず僕たちはあかりさんに同情に似た感情を抱いてしまった・・・・



ところで、あかりさんのお弁当は美味しかった。卵焼きにから揚げ・散らし寿司等々。
美人で明るくて、スタイル良くて、料理も上手で、しかも碁も打てる。
・・・・・進藤さんが必要以上に心配する気がわかるような。
そんな中、あかりさんはクラスの当番があるからと行ってしまった。
ここに僕達三人が残ったわけで。

「あかりさん。可愛い人ですよね」
「まあな」
「幼馴染だったんですか?」
「ああ、幼稚園からの付き合いで。家も近所だったんだ」
「ラッキーでしたねー」
じろりとにらまれた。
だって幼馴染じゃなきゃ、あんな人は僕達みたいな碁バカには捕まえられませんって。

「でも、進藤さん。あれじゃあかりさんかわいそうです!!」
僕は勇気をだして言ってみた。
そうすると、進藤さんは苦虫を噛んだような顔をしたあと、頭を抱えて俯いた

「だー!!わかってんだよ!!」
でもーどうしてもー、ちくしょー!もうちょっと可愛くなくても良かったんだ・・・
はあ?なんか世の中の男を敵に回しそうなこと呟いてますけど・・・
可愛い彼女を持つと大変なのかなー?と少々進藤さんに同情したりもしたけど、
やっぱりあかりさんのほうが大変だよなー。
それより午後のトーナメントだよなーと、進藤さんは真剣に考えはじめた。
どうするつもりなんだろう?


午後、指導碁を少しやったあと。トーナメントの準備があるため指導碁は終了。
あとはトーナメントの上位戦だけ検討して欲しいってことだったので、
あかりさんのクラスに僕たちは行くことにした。なんでも喫茶店をしているらしい。
部長にそう言ったら、ちょっと複雑そうな顔をして、「進藤を見張っててね」と僕たちだけに言った。
何でかなーと思っていたら、クラスに行ってわかった。


「仮装喫茶だぁー!?」
進藤さんの雄叫びが響く。やばい・やばいですよ!!
「し、進藤さん。クラスの出し物です!!しょうがないんですって!!」
進藤さんがガラッとドアを開けると、明るい声で「いらっしゃいませー!!」って響く。
アリスの格好をした女子生徒が近づいてきて声をかけてきた。

「あれ?進藤君。ああ、見に来たの?・・・怒らないでね」
「あかりもその格好してるのか?」
「ま、とりあえず座って。そちらのお二人もね」
と、テーブルに通された。

見渡すと部屋の中にいるいる。
「アリスのウサギ(女の子)」「大正ロマン風」「白雪姫」「旧日本兵」
「武士」「王子様(?)」「ホスト風」「アニメキャラ」
中には、女性が男装。男子が女装という明らかに笑い狙いの人もいる訳だが・・・

「あれ?あっち大丈夫なの?」
そう言って近づいてきたのは、「ジュリエット」
にっこり笑って、目の前で一回転して見せてくれた
「ねえ、どう?」
にっこり笑う姿はそりゃーもう・・・あかりさん、似合いすぎです
進藤さんはすごく不機嫌そうな顔であかりさんを眺めた後、
ちょっと照れたように目線をはずしながら小さく「・・・・悪くない、似合ってる」とボソッと呟いた。

でも案の定。
「でも、お前その格好!!」
つまりは、あかりさんはとっても似合っている。というか、すごく可愛らしい。
そうすると当然、ここにもあかりさんをぽーと眺めている男子達はいる訳で・・・・

進藤さんはその男たちに思いっきり牽制の視線を飛ばす(すっごく怖い眼光で)
「あら、進藤君。あかりのこの格好に文句ある?」
「これでも、わがままな彼氏に気を使ってあげたんだけど」
そう言いながら、あかりさんの助けに来たのは、なんと「超ミニチャイナ」に「クレオパトラ」
「・・・・・お、お前ら、なんつー」

進藤さんが思わず顔を赤らめる。
二人ともスラリとしていてもちろん似合っているんだけど、露出度高くありません?
チャイナから伸びる脚が魅惑的だったりして、僕たちも思わず顔が赤くなってしまう。
「どう、似合うでしょう?」
チャイナの彼女はにっこり笑いスラリとした脚を一歩前にだして、さらに脚線美を強調する。
「あかりもね、ギリシャ神話の女性とか、メイド服、
 バニー、アラビアンナイトとか候補あがったんだけどね」
進藤さんが目をむいた。あかりさんのその姿が浮かんだんだろうな。
バニーはもちろんアラビアンナイトとかも露出度高いよなーたしか・・・思わず想像してしまう。
「とりあえず、露出低いものにしてみたけど、ご不満?」
クレオパトラさんが微笑を浮かべて肯定を求めてきた。
さすがクレオパトラ、有無を言わせない迫力がある。
進藤さんの完敗である。

「・・・・」
進藤さんはあかりさんが運んでくれたウーロン茶のストローをくわえながら、
あかりさんのことを目で追っている。
そしてあかりさんをぽーと眺めている男どもを睨み付けて牽制しているのだが。

「進藤さん、大丈夫ですって。なにもそんなに睨まなくても」
目の前で僕たち怖いんです
「だって、クレオパトラさん達がいるからそっちにみんなの目も行ってますって」
これはある程度事実。
ただ、クレオパトラさんやミニチャイナさんも見つつ、あかりさんも見つつって感じなだけで

進藤さんは大仰にため息をついた。
「だから文化祭なんて嫌いなんだ・・・」
なんて、ってもしかして去年もなんかあったんだろうか?
というよりも、何で進藤さんこんなにあかりさんのクラスメートにまで有名なんだろう?
囲碁部には指導碁来ているらしいから当然として、
普通クラスメートには学校違うんだしここまで有名にはならないと思うんだけどな。
しかも、進藤さんの独占力までご存知のよう。
教室を見渡せば、なんとメニューの脇の壁に

『注意!ジュリエットは売約済みです』

と貼ってある。進藤さん対策なんだろうか?それにしても進藤さんって・・・・





あかりちゃんも大変だけど、進藤さん的にもちょっと大変なんです。
でもやっぱりあかりちゃんの方が大変そうです(^_^;)

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