憧れの存在?驚愕編-4-



「あのー、こんなときに悪いんですけど。聞きたいことがあるんです」
みんなの目線が僕達に注がれる。
「そのー。塔矢さんと金子さんって」
だって、さっきから頭が混乱してて。確認しときゃないと話についていけない。
「はあ?」
進藤さんが不機嫌に聞き返してくる。

「あの、お二人って」
「そうか、ごめん。いきなり話し始めてしまったね。紹介するよ、彼女は金子 正子さん。
 進藤とあかりさんの中学時代の友人で、僕達は現在お付き合いをしているんだ」
お付き合いって恋人同士ってことだよな。えっと、と、言うことは。
進藤さんとあかりさん。塔矢さんと金子さん。それぞれ恋人同士な訳だから。
塔矢さんと進藤さんは・・・・・
あれ?あの噂は・・・?


僕達はお互い顔を見合わせて確認した。
「つまり、あの恋人同士って噂、うそだったんだー」
「よかったー。二人はノーマルだったんだー」
僕たちはパニクッていたんだ。だからつい・・・・声に出してしまった・・・


「はあ?なにぃー!?」
「!!」
「「あ!いえ!何でもありませーん!!」」
僕たちはすかさず否定したが、当然間に合わず・・・
「何、まさかこの二人って付き合っているとでも噂になってたわけ?」
鋭く金子さんが進藤さん達を指差して聞いてくる。

「あのー、そのー」
「つまりそう言うことなのか?」
塔矢さんそんな瞳で睨まないで下さい。
「おい!はっきり言え!!」
進藤さんまで怒らないでください!!第一、二人とも本気でまったくきがつかなかったんですかー!
結構、碁の世界では広く広がっている噂なのにー!
僕達は覚悟を決めて、大きく頷いた。肯定の意味を込めて。
「・・・・・」
思わず二人は立ち上がり、無言でお互いの姿を見つめあった。
あー、噂に拍車をかけそうな光景だよなー。
そんな暢気なことを思った次の瞬間

「なんで!塔矢なんかと!!」
「なぜ! 進藤と!!」
お互い指を差し、怒声を同時に発する。そして嫌そうに顔をしかめる。
金子さんははじめちょっとびっくりしたらしいが、立ち直りあろうことか今度は笑い始め。
あかりさんはいまだ衝撃から立ち直れないのか、大きい瞳をさらに大きくしている。


「あきらも進藤も。あんた達普段なにやってるわけ?」
「「何もしてない!!」」
同時に否定。
「あの、でも、結構有名な噂で」
ギロリ。二人同時に怖い視線を投げかけてきた。
「ゆ、有名なの?」
あかりさんが恐る恐る聞いてくる。そりゃ、自分の彼氏にホモの噂があるんじゃびっくりするだろう。

「あかり!!誤解だ!根も葉もない噂だ!!」
あかりさんが不安そうに進藤さんを見つめる
「でも、目撃談も」
「なにぃー!!!なんだそりゃー!!」
「二人とも。いい加減にしてくれないか」
塔矢さんがひどく低い声で言う。声に怒りがこもっている。
「目撃?バカなことを言わないでくれ」
「あの。その」
こっちを見ている視線が顔が怖い。うわー二人とも本気で怒っている。

「誰がそんな噂流してんだよ!!」
「えーと」
しどろもどろになる
「進藤、噂の出所なんてわからないもんでしょう」
「金子お前なんでそんなに冷静な訳?」
「十分驚いているわよ。まさか、自分の彼氏が男と出来ているなんて噂があるなんて」
大げさにため息をついて答えた。
「事実無根だ」
「わかっているわよ。相手が進藤だもの」

今度はまた笑い出した。おかしくてたまらないらしい。
「笑い事じゃないぞ!冗談じゃない!!見ろこの鳥肌!!」
長袖をまくった腕にはびっしりと鳥肌が立っていた。
「まったくだ。頭痛と吐き気がする」
青い顔で答えるのは塔矢さん。
「す、すみません。あの、でも、間違いだって良くわかりましたから」
「「当たり前だ!!」」

とりあえず、落ち着いたらしく。二人はまた座りなおし、
「いいか。そんなバカな噂、次に聞いたら絶対否定しておけ!」
「なんなら僕を呼んでもらっていい。進藤、とにかくこの噂を早急になんとかしよう」
「くそー誰だよ。こんな噂ながしてんの」
二人は深く深くため息をつく。


『アイドルと対談したくせに、まるっきり興味示さなくて、
 可愛いとも別に思わなかったらしいぜ、進藤のやつ』
誰かがそう言っていたのを思い出す。噂の原因のひとつ。
そりゃ、小さいころからあかりさんを見て育った進藤さんには当然だろうな。
噂なんて、あかりさんや金子さんを棋院に連れて行けば一発で収まると思うんですけど・・・



一度話は脱線したけど、結局元に戻ってトーナメントの賞品の話になる。
でも結果は。
進藤さんはあかりさんの
「ごめんなさい。でも、これくらいしなきゃ誰もエントリーしてくれなかったの」
と申し訳なさそうに謝る姿に。
塔矢さんは。
「ま、そういう訳だから。これも碁の普及のためって割り切りなさい」という彼女に。
結局二人とも勝てなかったのだ。

だが、塔矢さんは思いっきり深いため息をついた後。
「帰って練習しますよ。優勝してもらいます」
有無を言わせない低い口調で金子さんをそうそうに連れて帰っていった。






とうとう二人にあの噂がばれました(^O^)
岡君 庄司君は災難な一日になっているような・・・
あともう少し続きます

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