憧れの存在?衝撃編-1-




あかりちゃんの存在が囲碁仲間に知られていない設定です
******************

若手棋士の中で、トップを行くのは塔矢先輩と進藤先輩。
二人はお互い認め合うライバルであり、私生活ではよき親友でもある。
彼らの実力はベテランの棋士達も認めるところであり、
すでにリーグ入りも果たし上位棋士達と対等に渡り合っている。。
つまり、彼らはまだ少年の年でありながらすでに、碁の世界でトップグループに入っているのだ。
それだけじゃなくて、外見も抜群な二人はこの頃雑誌やCMなんかに出ていて、アイドルなみに人気がある。
碁協会の策略らしく、碁を若い人にも浸透させるため彼らや伊角さんなど見栄えの良い棋士達は
この頃モデルのような仕事が多くなっているらしい。



「憧れるよなー。目標だよ」
俺は当然そう思い、そう口に出した。

「僕もだよ。彼らみたいになりたいね」
「最高のライバル関係であり、親友って関係もいいよなー。俺達も目指そうぜ」
そう、塔矢先輩と進藤先輩は僕達の憧れであり、目標なのだ。

そんな話をしていたら、後ろから若手プロの別の先輩達が話し掛けてきた。
「おいおい、やめておけ。碁は確かに強いけど、あいつらの関係だけは止めておけって」
「第一、あいつら碁ばっかりだろ。碁は認めるけど、つまらなくないのかな」
「いや、だからさー」

そう、うわさ。あの二人に関するうわさ。
『二人はできている』
つまり、二人は最高のライバル・親友。それだけじゃなくて、恋人でもあるというのだ。
実は結構広く言われているうわさ。本当なんだろうか?

「あの、それ、デマじゃないんですか?」
おそる、おそる聞いてみる。
「いやー。それがね。怪しいんだよなー」

彼らのファンを自称する僕達でも、さすがに私生活はわからない。
うわさの原因は、彼らの仲の良さによるものだ。
進藤プロの方は実は結構友人もいる。和谷プロや伊角プロ、越智プロなど親しい人は多い。

が、塔矢プロの方はあまり親しい感じの人はいない。
同門の人たちとはもちろんそれなりに親しいが、友人といった感じではない。
だいたい、ため口で話すのは進藤プロに対してだけだ。
ゆえに、進藤プロと塔矢プロは特別な関係ではないか。というのが理由。

目撃談ももちろんある。
廊下で二人が親しげに話していた、しかも塔矢プロが頬をそめたり、めずらしく焦ったりしていた。
内容は何か日程の調整らしくデートぽかったようだ。

塔矢プロの両親が居ない時など、進藤プロはよく泊まりに行っているらしい。
このまえ、同年代のアイドルと雑誌企画で会談したときも、感想をきけば二人して
「可愛かったか?えー、わかんねえや、特に思わなかったなー」「普通じゃないのか?」というお答え。
異性に興味があるのだろうか?と疑惑を強めた。



「あの。僕達、こんどの土日に進藤さんの知合いの高校に指導碁に行くことになっているんです。
 文化祭があるそうで」
「進藤さんだけじゃなく、塔矢さんも出るそうです。
 進藤さんがどうしても日曜ダメだから、塔矢さんに頼んだって」
「いろんな人と打つのは勉強になるからって誘われて」

へーと先輩達はかるくびっくりしたあと、がんばれよーとエールを送ってくれた。
「ところで、どこの高校?」
高校名を言うと先輩は大仰に驚いていた。
なんでも、その高校には近隣でも有名な美少女高校生がいるらしい。
スカウトなども当然あるらしいが、全て断っているという美少女。

「おい、岡・庄司!お知り合いになってこい!!」
「無理ですよー。進藤先輩の友人がいるんだから、進藤さんに頼んでくださいよー」
「あいつらが女の子に興味があるわけないだろう!
 あー、よし!お前らの様子見にいってやるぞ。今週末だな!」



一抹の不安をかかえつつ、当日がやってきた。
その高校の最寄駅でまちあわせ。先輩は5分ほど遅れてやってきた。
わりぃ・わりぃと頭を掻きながら、かなりラフなかっこで現れた。
僕たちはちなみに中学の制服を着てきた。

「指導碁なのに、スーツじゃないんですか?」
歩きながらそうたずねる。

「あー、いいんだ。高校の文化祭だもん。お祭だよ」
「進藤さんの中学時代の囲碁部の仲間がいるんですよね」

「そ、今3年で副部長してるんだ」
「前にも来たことあるんですか?」

「おー、文化祭なら去年もきたなー。指導碁なら月一ぐらいで行っている。
 塔矢にも来てもらったことあるなー」

し、知らなかった。先輩はリーグ入りをしている上に、
雑誌取材やイベントととかあるからかなり忙しいはずなのに。
それにしても贅沢な囲碁部だ。

「すごいですね。大切な友人なんですね」
そう、何気にたずねると、進藤先輩は嬉しそうににっこり笑った。
「まあな」と。



高校に着くと、正門はまだ閉まっていた。
開催は10時からと書いてある。現在9時半。
どうするのかな?と思っていたら、「ちょい早かったかー」と呟きながら、
フェンス沿いに歩き出して、生徒用の小さい入り口から中に入っていった。慣れた様子だ。

「大丈夫なんですか?」
明らかに生徒じゃないのに。
校庭には多くの生徒や先生方がいて、開催の準備に取り掛かっていた。
忙しそうだ。進藤さんはその中を当然とばかりに迷わず歩いていく。

「おー、進藤!!」
生徒の中の一人がこっちに手をふって挨拶してきた。
「よう!頼むぜ、今年は暴れんなよ。俺、文化祭実行委員やってるからな。
 暴れたら容赦なく取り押さえるぜ」
 ・・・・・・先輩?去年なにしでかしたんですか?

「誤解呼ぶようなこと言うなよなー。
 あ、こいつら後輩。プロの卵。いい経験になっから連れてきた」

俺達はぺこりと頭を下げた。
「今日はどうもすみません。プロの指導碁は結構売りになってて。
 楽しみにしているお客がいるようなので、よろしくお願いいたします」

「あ、僕達まだプロじゃないです」
実行委員の人はそれでもセミプロですよね、といって丁寧に頭を下げてくれた。
「
じゃあな」と言って分かれたあと、先輩が説明してくれた。
「あいつは俺の中学のクラスメート。あ、囲碁部仲間じゃないぜ。
 で、去年指導碁したら結構評判良くてさ。近所のじーちゃんとかが集まっちゃって。
 今年は近所の老人会とかに招待状とか出したらしいぜ。
 だからボランティアみたいなもんだなー、頼むぜー」
なんだ、つまりは一人じゃ足りなかったんだ。

「あの僕達でいいんですか?ほかのプロの先輩達のほうが」
「あー、あいつら何かと忙しいじゃん。明日はトウヤに頼めたし、
 まあ、いろいろなー。無料でやってるし」
「あの、明日。何人か様子見にくるって言ってましたよ。」
それを聞いた先輩はげっ!って顔を露骨にした。何がいやなんだろう?



文化祭です。なかなかあかりちゃんは登場しません。
説明文的なものが多いですねー、どうも私の文体のくせらしい
1ではまだ大人しい進藤君です(^.^)
⇒2へ

⇒目次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送